ストレスケアとしてのプロファイリング

2021年11月17日

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みなさんはなにかストレスケアをしていますか?ここ2年ほどはコロナ禍という環境にいることもあり、ストレスを感じていない人はいないと思います。

「ストレス」とひとまとめに言ってしまいがちですが、ストレスには「良いストレス」と「悪いストレス」がありますね。

そもそもストレスとは物理学用語で「外部からの刺激により引き起こされる生体側の歪み」という意味で一般化された言葉です。

ゴムボールをギューッと手のひらで握り潰すような動作をするとき、ボールに加わる外からの力(手の圧力)が「ストレッサー(ストレスをかけるもの)」であり、潰されたボールが元に戻ろうと反発する力が「ストレス」です。

退屈な毎日がひたすら続く単調な生活よりも、時々、新しいことに触れたり、魅力的な人に出会ったり、美しい景色を見ることなどは、好奇心や探究心を刺激し喜びを感じさせてくれるちょっとしたスパイスで、これらは「良いストレス」と言えるかもしれません。

一方で、もしあなたが、新しい体験をすることが怖いと感じたり、初対面の人に会うことが苦手な人だとしたら、一般的に「良いストレス」と考えられていることが、あなたにとっては好ましくない刺激であり、ボールがぎゅーっと潰された状態で、なんとかそれを戻そう戻そうと内側から外に向かって戻ろうとする強い力(ストレス)がかかることになります。

人間には恒常性が備わっているので、元に戻ろうとする力が働くことは正常だし必要なことでもありますが、外部からの刺激が継続的にかかり続けると、元に戻そうとする力もずーっとかかり続けて、心身に大きな負担となり疲れてしまう。

同じ外部刺激でも、受け手側の捉え方・感じ方次第で、それは「良いストレス」にも「悪いストレス」にもなるということ。そして、その捉え方、感じ方は人それぞれです。

外部刺激には、暑い・寒いというような環境的な刺激や、怪我で体が痛いという生物学的な刺激のほか、他の人からのきつい一言のように心理社会的な要因というのもあります。

この他者からの一言というのを考えてみると、ある人がその一言を放つとき、その人はなんの気なしに言うかもしれないし、あるいは意図的にショックを与えようとして放つ場合もある。なんの気なしに言われたことが、あなたにとっては大ショックかもしれないし、相手があなたにショックを与えようとして言った一言があなたには痛くも痒くもないかもしれない。

この双方の組み合わせによって、人間関係というものが、「良いストレス(心地よく自分を成長させてくれる)」となることもあれば、「悪いストレス(心身を疲弊させる)」となることもあるのです。

人間関係に悩むときには、言われた一言・されたこと、という自分が実際に受けた刺激に対して「悲しい」「悔しい」といった反応として現れると思います。

でも実際には、あなたは、外部刺激を加えた側(ストレッサー)の人がどれぐらいの圧になると想定してその言動(刺激)をとったのか、という本当のところを知る術はほとんどありません。

相手側の意図を知らないと、結果としての刺激(言動)に対して一喜一憂することになるけれど、相手のその言動の意図がわかれば(むしろ意図すらなかったということがわかれば)、悩むに足らないことだったと気付けるかもしれません。

あるいは、相手の意図が自分にとって好ましくないものであったことが明らかになった場合でも、無防備なままでいるのではなく、その意図に対する緩衝材としての打ち手を考えることもできます。

ですから、起きている事象だけでなく、相手の意図を知るということは、ストレスの度合いを変えること、ストレスに備えることにつながるのです。

この、相手の意図や行動の背景を知り、その人の輪郭をあぶり出していくというのが、プロファイリングです。

目の前にいる相手と同じ視線の高さで見ているときには気づけないことも、自分の視座を一段あげて俯瞰して見てみると、もっと全体像がわかって許容できる。

相手をプロファイリングすることで、あなたが相手より一枚上手(うわて)にいることができれば、大きく振り回されことが少なくなります。

ただし、心に止めておかなければならないこともあります。それは、あなたが相手の行動を変えることは正直、難しいということ。

相手がふいに言う言葉を取り消すとか、言わせないようにするとか、とっさの出来事を制止することはできないかもしれません。つまりストレッサーを排除することはできないかもしれない。

行動を起こすかどうかの衝動はその人のなかにあるもので、人がそれを強要したり制止したりすることはやはり難しい。もし相手も、あなたと同じように、一段上の視点に立つようになれば、その人もまた、あなたの気持ちがわかって、自分の行動を自制することができるようになるのかもしれません。

しかし、そこも含めてその人がどうマインドセットを切り替えるか、ということなので、そこはプロファイリングよりもさらに先の話になるということを覚えておく必要があります。

日常生活で実際にストレスがたまってしまったら、それを開放するためにストレッチしたり、ぐっすり眠ったり、自然の中を散策したり…とストレス解消法を取り入れることもできますね。

でも理想は、ストレス自体がたまらないようにすること、ストレスが起こる状況が発生しないことではないでしょうか。

そのためにまずは自分が1段上の視点から物事を眺めてみる。そのことで自分の考え方や捉え方を柔軟にして、長期的にストレスを感じにくくする。ストレッサーは排除できなくても、過度なストレスと捉えることがなくなることで、仮想的にストレスを無くす。

そのための一つの手段として、プロファイリングを取り入れる。そんなプロファイリングを使ったストレスケアをみなさんに知ってもらえるといいなと思います。


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